2010年4月3日土曜日

特異体質の女

特異体質の女

そろそろ半分だな、とAは目の前のパネルに表示されている時計を見た。

スポーツジムに通うAは、数種類の筋トレをした後、ステッパーを40分やることを自分のプログラムと決めていた。

最近の機器は昔と違って、たくさんの運動メニューがあり、カロリー表示もあり、さらにテレビが付いているので、飽きることがない。

そのうえ、ジムの壁面にも大きなモニターがあり、常時テレビ映像が流されているので、運動をしながら複数の映像を同時に楽しめるようになっている。

Aが使うステッパーの前にはランニングマシンがあるが、ステッパーに乗った時の目線が一段高い位置になるので、ランニングマシンを使う人を後ろから見下ろす形になっている。

そのため、Aはステッパーを使っている時、壁面の大型モニターと目の前の個別モニターの他に、ランニングマシンを使う人の後姿を楽しむことができた。

男の後姿に興味はないが、女の後姿には、当然興味があった。

Aがジムに行く時間はほぼ決まっているので、同じ時間帯に来る人達を幾度となく見かけることになる。

そんな常連さんの中に、気になる女がいた。

スレンダーな女でエクササイズマニアのようなタイプだった。

筋トレもマシンよりはダンベルなどのウエイトを使うタイプで、かなり年季が入ったアスリートといった印象だ。

Aがステッパーをやる時は、その女がランニングマシンをやる時と重なるので、ジムに行く日はその女の後姿を見ることができた。



女は今日も走っていた。

トレーニングウェアにじっとりと汗が滲んでいた。

俺はあと20分だが、彼女はどの位かな、などと考えながら女の太ももからふくらはぎにかけて舐めるように視線を動かした。

体脂肪率も低そうな無駄の無い筋肉質の身体だった。

ちょっとお知り合いになりたいもんだ、とAは女の後姿に視線を落としながらステッパーで汗をかいていた。



ジムがあるビルの隣にはチェーン店の珈琲ショップがあるので、Aは帰りによく立ち寄って珈琲を飲んだ。

ある日、カウンターで飲んでいると例の女が入ってきた。

目線が合った。

女もAを意識しているようだった。

Aは思い切って声をかけた。

「こんにちは、ジムに通われてる方ですよね?」

「ええ」

女の顔に笑みがあった。



それをきっかけにAは女と、ジムでも声を掛け合うようになっていた。

ある日、Aはある事に気づいた。

以前見ていた女の胸は、どちらかといえば貧乳タイプだったのだが、Aと相対しているときの女の胸はやや膨らみをもっていた。

気のせいなのかな、と思いつつもAの意識の中に違和感として残った。


徐々に二人の間の距離は縮まり、ジムの帰りに一緒に珈琲ショップに立ち寄ることが日課になっていた。

ある時Aは女に訊いた。

「なんで俺が声をかけたとき好意を持った対応したのかな?」

Aは女の顔を見て、

「無視されるかと思ったよ」

「身体が反応したのよ」

女は微笑を浮かべながら応えた。

「身体が反応した?」

「そう、私ね、自分の感情で異性を好きになるとか嫌いになるということがないの」

「どういうこと?」

「大きな声では言えないけど、自分にとって大丈夫な人、安心できる人ってことね、それに、付き合ってもいい人と向かい合うと、乳房が大きくなるよ」

「はい」

Aの声が上ずった。

「ほら」

と言って女はAの手をとって自分の胸に重ねた。

確かにあの貧乳からは想像できない大きさだった。

その時Aは、この女と付き合うべきかどうか一瞬逡巡したが、せっかく付き合い始めたことだし、とことん付き合うか、と覚悟を決めた。



そして、1ヵ月後。

Aと女はラブホテルの一室に居た。

女がシャワーを浴びている間、Aはベッドに横になり、意外に早くここまで来たな、と1ヶ月前を振り返っていた。

やや珍しい体質を持った女だったが、普段付き合うには気持ちの良い女だった。


女がシャワールームから戻り、二人の営みが静かに始まった。

女の胸にAの顔が密着するように、女はAを自分に引き寄せた。

興奮した女の胸は豊胸状態だったが、徐々にその様子が変化してきた。

乳房が筋肉化していたのだった。

しばらくすると女の全身の筋肉が2~3倍に膨れ上がり、Aを抱擁する力も増していた。

興奮している女は腕の力を緩めようとしなかった。

Aは女の腕の中で息苦しくなり、呻き始めたが、興奮する女の耳には届かなかった。

額の血管が強く浮き出てきたAの顔色が青ざめてきた。

Aの手は必死で女の腕を解こうともがいていたが、何の役にも立たなかった。

しばらくして女の腕の中で鈍い音がした。


30分ほども経っただろうか、女が興奮から醒めてきた。

女の胸の上には首の骨が折れたAが横たわっていた。

「またやっちゃた」

女は呟いた。

「これで5人目かぁ」





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