Aは糖尿病を患っている。
医者から厳しくカロリー制限するよう指示されている身だ。
そのため好きなアルコールも、糖尿病宣告以来控えてきた。
といっても、それまで毎日ウワバミのように呑んでいた酒量を、バーボンをシングル1杯に制限し相変わらず呑み続けている。
当然他の食事にも気をつけているので、最近の血液検査では指標となるヘモグロビンA1c(HbA1c)の値も下がり、安定してきている。
処方されていたアクトスも半分になり、徐々に改善に向かっているのだった。
そんなこともあってか、今日は少し気が緩み
-- あと1杯くらいはいいか
と、2杯目を注いでいた。
ここ半年ほど1杯でガマンしてきたためか、身体が1杯に慣れてきていたせいか、2杯目は美味しくもあり、酔いを加速させる効果も持っていた。
Aは目を閉じて2杯目の味を堪能していた。
瞑想するように気持ちを静めながら味わっていたら、いつの間にか意識が遠のいていた。
どのくらい経っただろうか。
気が付いたら近所の公園にいた。
薄汚れたベンチに腰をかけていた。
そこにヨレヨレのスーツを着たホームレスとおぼしき男が近づいてきた。
「お兄さん、そこ俺の場所なんだがな」
「えっ、そうなんですか、すいません」
「まあ、いいや、どこから来たんだ」
「えっ、いや気が付いたらここに、ちょっと酔っ払ったみたいで…」
「なに訳の分かんねぇこと言ってんだ」
Aは男がややびっこを引いているのが気になった。
「この脚かい、こりゃ義足だよ」
「義足?」
「ああ、糖尿病だったんだ、というよりきっと今でも糖尿病だろうけどな」
「糖尿ですか?」
「ああ、こんな生活してるのも糖尿病がもとで壊死した脚を切っちまったのが原因さ」
「壊死?」
「ああ、糖尿病性壊疽ってやつさ、合併症だよ」
「合併症?」
「酒が好きでな、呑まない日はなかったよ」
男は、自分が酒の呑みすぎや食べすぎで糖尿病を発症し、医者の指示で食事療法していたが、その制限に我慢できず、結局リバウンドなのかそれまで以上に暴飲暴食を続けた結果、脚をきることになった経緯を、Aに話した。
脚を切ってからの生活は荒れ、結局家族からも見放され、この公園に流れ着いた、そんな身の上だった。
普段話し相手がいないのか、それは饒舌だった。
「糖尿病って自覚症状がないだろう、だから食事制限なんて言われてもなぁ、結局気持ちが弱かったってことさ」
「いまはどうなんです?」
「こんな生活だから、もうどうでもいんだよ」
「…」
「ただ最後どんな死に方をするのか、それがちょっと気になるけどな」
「…」
「お兄さん、一杯どう?」
「えっ、酒ですか?」
「他にあるかよ、これもなんかの縁だ、一杯呑みなよ」
そういうと男はスーツの内ポケットからウィスキーのポケット瓶を取り出した。
ウィスキーは安い銘柄だった。
慣れた手つきで、瓶に付属の小さなプラスチックのコップにウィスキーを注ぐと、Aに渡した。
Aは戸惑ったが、その場の流れでウィスキーを口に含んだ。
その瞬間、安い酒にありがちの強いアルコールが鼻をついた。
Aは我に返った。
「なんだ夢かぁ」
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